近年、SNSで過激なコンテンツを発信して再生数を稼ぐインフルエンサーが、国境を越えて問題となっています。

そんな中、海外のインフルエンサーが日本の空き家に不法侵入し、「日本では空き家に自由に出入りして勝手に泊まっていい」「日本旅行はタダで泊まれる」といったデマを拡散しながら侵入を煽る配信を行い、物議を醸しました。

「いくら空き家でも、他人の敷地に勝手に入るのは犯罪では?」そう思ったあなたの感覚は、まったく正しいものです。

今回は、こうした行為が日本の法律でどのような犯罪に当たるのかを整理しつつ、放置された空き家が引き起こす防犯リスクと、私たちが取るべき対策について解説します。


1.「空き家なら入っていい」は誤り。成立しうる犯罪

まず明確にしておくべきは、「所有者の許可なく人の敷地や建物に入る行為は、明確な犯罪」だということです。動画でどれほど「タダで泊まれる」と主張されていても、日本の法律では一切通用しません。

具体的には、以下のような罪や責任に問われる可能性があります。

■ 邸宅侵入罪(刑法130条)

正当な理由がないのに、他人が管理する建物やその敷地に侵入した場合に成立します。空き家のように、日常的には使われていないものの所有者・管理者が存在する住居は、法律上「邸宅」にあたり、無断で入れば邸宅侵入罪となります。法定刑は3年以下の拘禁刑、または10万円以下の罰金です。

※ 2025年6月の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。なお、人が住んでいる家への侵入は「住居侵入罪」、住居・邸宅以外の建物への侵入は「建造物侵入罪」に区分されますが、いずれも法定刑は同じです。

■ 器物損壊・窃盗

鍵や窓を破壊して侵入すれば「器物損壊罪」、家の中の家具や残された備品を持ち去れば「窃盗罪」が成立します。また、長期間勝手に住み着く行為は、民法上の不法行為として損害賠償請求の対象にもなります。

■ 侵入を勧める配信そのもののリスク

不法侵入を配信し、「みんなもやればタダで旅行できる」とそそのかす行為については、他人に犯罪を促す「教唆」にあたる可能性が指摘されています。仮に教唆に問われなくても、こうした配信は多くの人に犯罪を誘発する社会的に極めて危険な行為であり、厳しい批判の対象となっています。


2. なぜ狙われる?「空き家」が抱える防犯上の弱点

不法侵入者や犯罪グループが空き家を狙う背景には、日本特有の社会問題と防犯上の隙があります。

管理されていない空き家は「圧倒的な死角」になります。草木が生い茂り、郵便受けにチラシが溜まった家は、遠目にも「誰も管理していない」と一目で分かり、人目が届かないため、侵入者にとって格好の隠れ家になってしまいます。

さらに深刻なのが、犯罪グループのアジト(拠点)にされるリスクです。近年猛威を振るう「闇バイト」などの犯罪グループが、盗品の一時保管場所や特殊詐欺の拠点として空き家を利用するケースが増えています。

そして、近隣住民への二次被害も見過ごせません。見知らぬ人間が出入りすることで、騒音やゴミの投棄はもちろん、不審火による放火のリスクも高まり、地域全体の治安悪化につながります。


3. 実家の空き家・近所の空き家を守るために、今すぐできる対策

「誰も住んでいないから放置でいい」という認識こそ、犯罪者を招き寄せる最大の誘因です。自分の所有物件はもちろん、地域全体で空き家リスクに対処する必要があります。

所有者・ご家族ができること

まず「管理されている感」を出すことです。定期的に雑草を抜き、郵便受けを片づけるだけでも「人が来ている家」というアピールになり、侵入を思いとどまらせる効果があります。

次に、物理的な防犯対策です。人感センサーライトや見守りカメラを設置し、窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、侵入のハードルを大きく上げられます。特に、遠隔から常時確認できるカメラは、離れて暮らす所有者にとって心強い備えになります。

そして、警告表示の設置です。「敷地内に立ち入った場合は警察に通報します」といった看板を明示しておくことで、「知らなかった」という言い訳を封じられます。

近隣住民ができること

誰も住んでいないはずの空き家に灯りがついていたり、見知らぬ人の出入りを見かけたりしたら、直接声をかけず、すぐに110番、または警察相談専用ダイヤル #9110 に連絡してください。


まとめ:空き家は「治安の抜け道」にしない

「日本の空き家はタダで泊まれる」という身勝手なデマがSNSで拡散される背景には、空き家の放置という日本の社会問題があります。

空き家は単なる「使っていない建物」ではなく、放っておけば犯罪の温床になりかねない「治安の抜け道」です。

実家や所有物件をお持ちの方は、この機会に防犯状況を見直し、不法侵入者を寄せ付けない環境を整えましょう。

LUP Planningでは、空き家の見守りカメラ設置から定期的な管理まで、離れて暮らすご家族に代わって大切な資産をお守りするお手伝いをしています。空き家の防犯にご不安のある方は、お気軽にご相談ください。